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「現代のケベック」講座(1/17):宮尾尊弘筑波大学名誉教授 [報告]

「現代のケベック」講座(1/17):宮尾尊弘筑波大学名誉教授 (1/18)

講師:宮尾尊弘筑波大学名誉教授
題目:「ケベックから日本が学ぶもの」
日時:2012年1月17日(火)13:00-14:30
場所:明治大学リバティタワー1143教室
コーディネーター:小畑精和(AJEQ会長、明治大学教授)

コーディネーターの小畑教授と講演者の宮尾講師
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学生へのアンケートの結果に基づいて講義する宮尾講師
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(報告)
 宮尾尊弘講師(筑波大名誉教授、AJEQ会員)による講義は、冒頭受講生にアンケートを配布し、政治、経済、技術、外交、社会、文化、言語およびその他という8ジャンルに分けて、日本が最も参考として学べる分野は何か、またそう思う理由を書かせて集計したのちに、ジャンル別にケベックと日本の状況について比較定性分析を試みるという、類を見ない優れた手法によるもので、本講座シリーズの最後を飾るのに相応しい講義であった。以下要点を挙げる。

 1 先ず政治経済の分野では、日本が「失われた10年」を経験して沈滞感低迷感に覆われている一方、ケベックは21世紀に入ってからの実質成長率が13.4%(日本は3.0%)と急伸しており、NAFTAを追い風に先端産業を中心に活力に溢れた発展を見せている。その上で、今後25年にわたる壮大な北部開発プロジェクトを始動させた。そうした急成長を支えるジャン・シャレ首相率いる州政府のリーダーシップ、例えば環境税の創設、育児休暇制度の拡充、閣僚数の男女同数実現などに見られるイニシアティブも、低迷する日本の政治状況とは対照的に見える。
 2 先端産業についても、映画アバター』の3Dの部分がモントリオールで制作されたようにマルティメディアをはじめ、宇宙航空、バイオ、ディジタル・デヴァイス面などで雄飛しており、日本が大企業中心の技術囲い込みないしガラパゴス化している現状に比して目を見張るものがある。対外関係では州独自の海外広報戦略に示されるような積極的な経済・文化外交が光っており、TPP一つ見ても意見集約不十分な日本から見ても学ぶところが大きい。
 3 文化社会面についても、カナダ連邦政府が「マルチカルチャリズム」を掲げているのに対し、ケベックでは「インターカルチャリズム」という言い方をしており、一線を画している。その意味は自己の文化を守り尊び重視することが基本となり、他文化への配慮も怠らないという生き方であり、違いを超えて共に生きるという考え方である。この点も、今後日本にとって大いに参考になるであろう。

 宮尾講師は、ケベック市制400周年記念祭やモントリオール国際ジャズフェスティバルに参加された時の印象などを語り、優れた企画の中にも自由で参加者の個性を活かした文化の祭典を活写され、コスモポリタンな雰囲気の中で独自の文化の維持発展に取り組むケベック社会の先進性を強調されたが、それはとりもなおさず閉塞感に覆われた沈滞日本の現状を深く憂えるメッセージに他ならないと受け取れた。   
(文責 池内 光久)

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